【Feature story】千人塚公園キャンプ場「興奮と静寂が同居する。次世代のアクティビティフィールド」

千人塚公園キャンプ場(長野県上伊那郡飯島町)

宮下広和さん

長野県上伊那郡飯島町の中心部から、中央アルプスへと駆け上がるように、西へ。

飯島町の中心部から、中央アルプスへと駆け上がるように、

西へ青々と葉の茂る夏の林道がふと開けると、目の前に穏やかな水辺の風景が広がった。

2019年より飯島町若手住民たちによる団体「紡縁社」が指定管理者となり、

新たなスタートを切った千人塚公園キャンプ場。

爽やかな風が渡る池のほとりで、現場責任者であるゴリさんこと宮下広和さんが出迎えてくれた。


アルプスの絶景に抱かれた、山の上の秘密基地


見上げれば中央アルプスに、南アルプス。日本を代表する二つの山脈の絶景と、
浮き立つ心を落ち着かせてくれる、城ヶ池の静寂。
人が多くても、少なくても、

千人塚公園はいつでも、ふとそこに立ち止まりたくなる「場の力」が満ちているように感じる。

町営の公園の東側を中心に広がるキャンプエリアは、メインのオートサイトが14区画。駐車場や炊事場にもほど近いシンプルサイトや、水辺をすぐ近くに感じられるソロサイトを含めても30区画というほどよい規模感も手伝って、ここでは誰もがそっと風景に溶け込み、自然と一体になれるーー。そんな魅力に満ちている。

しかも、車で数分山を下りれば、おいしい信州そばが味わえる道の駅や、モンブランが人気の菓子店に量販店、レストランなど、周囲に買い出し&立ち寄りスポットは多数。数年前に新設されたばかりのシャワー室やトイレの快適さもあいまって、じわじわと人気が拡大中。アウトドア初心者やファミリーにも愛されるキャンプ場となりつつある。


管理棟である「センターハウス」は、カジュアルなカフェになっていて、Wi-fiも完備。平日利用ならワーケーションも含め、静寂のなか極上のひとときが味わえることうけあいだ。

キャンプ場にいることを忘れてしまいそうな、センターハウスのカフェはWi-fiも完備

それにしても、池のほとりに腰掛けるゴリさんは、昨年からキャンプ場の管理をはじめたとは思えないほどしっくりとこのキャンプ場になじんでいるのが不思議だった。

理由を聞いて、納得。


「うちの実家、ここからすぐ近くなんですよ。子どもの頃はしょっちゅう遊びにきていて、近所の公園よりももっと近い、“庭”って感覚で。今もそこに暮らしてるから、何かあったらパッと来られるんです」


しかし距離が近すぎるだけに、いつしかそこにあることが当たり前になり、「気づいたら遠ざかっていた場所でもあった」とゴリさん。彼とこの場所との関係を紡ぎ直すきっかけは、あるアスリートとの出会いにあった。


「ここは、すごくいいフィールドだよ」。アスリートの言葉から、見つめ直した足元


キャンプ場の管理代表であるゴリさんが幼少期、庭のようにすごしていた千人塚公園。彼がここを改めて見つめ直すきっかけとなった人の名は、呉本圭樹さんという。

2016年まで6年連続アジアランキング1位、日本代表選手選抜ランキングも1位の実力をもち、現在もプロパラグライダーパイロットとして各地で活躍中のアスリートだ。


呉本さんは地域おこし協力隊として2016年、飯島町へやってくると、千人塚公園のポテンシャルをいち早く見抜いた。同時期に町は「飯島町営業部・アウトドア部会」を設立。「アウトドアアクティビティで飯島町を元気に!」の主旨に賛同したメンバーが集まり、千人塚公園を会場に「南信州アウトドアパーク」が開催されることとなった。

※呉本圭樹さんは現在、近隣の伊那市にてアクティビティスポット「ASOBINA」を運営中


飯島町で初の試みのとなったアウトドアイベント「南信州アクティビティパーク」は、マウンテンバイクにSUP(Stand Up Paddleboard)、ツリークライミング等も含めた7つのアウトドアスポーツがぐるっと池の周囲で体験できる手軽さに加え、フードにショップ、各種体験のワークショップも楽しめるとあって、初年から大きな話題に。世代を超えた多様な人々が集う町の一大イベントとして、期待は年々高まっている。

※新型コロナウイルス感染症の影響を考慮し、2020年の開催は中止となっています


「世界各地を見てきている呉本さんに、フラットな目線で『ここはすごくいいフィールドだよ』って言ってもらえたことが、自分にとっても地元の仲間たちにとっても、ここを見直す大きなきっかけになりました」


そしてついに2019年、このイベントの企画運営に奔走し、成功へと導いた「飯島町営業部・アウトドア部会」のメンバーたちが、千人塚公園キャンプ場の運営も担うことになった、というわけだ。


キャンプ場の管理団体として設立された「紡縁社」の代表は、地元飯島町を拠点にドローンを使った映像制作会社「WAVE」を経営する片桐 剛さん。そのほか飯島町で内科・小児科のクリニックを開業する「のどかクリニック」院長の野々村邦夫さん、「創作バルFLATT.」の宮下正子さん、そして今年から本格的にこのプロジェクトに携わることとなった現場責任者のゴリさんを含めて、みなアウトドア・アクティビティや町づくりに熱い想いを持つ個性派ぞろいとなった。


楽しみながら、思いやりながら。この環境を遊び尽くしたい


さて、話をキャンプに戻そう。

千人塚キャンプ場は、このサンクチュアリ的なロケーションに加えて、「南信州アクティビティパーク 」での経験を生かしたアウトドアアクティビティが気軽に楽しめるのが大きな魅力。

とくにSUPは、週末はもちろん平日でも、事前予約しておけばインストラクターに1から乗り方を教えてもらえるし、保護者同伴なら未就学児も同乗OKなのもうれしい。キャンプとともに、家族でとびきりの思い出を持ち帰ることができそうだ。

SUPは持ち込み利用も可能。いずれも事前にお問い合わせを

また、この場所が発祥の地だとされる「マレットゴルフ」も、穴場的人気なのだとか。耳慣れない競技名だが、パターゴルフをゲートボールのような器具で楽しむ……というと、わかりやすいだろうか。コース利用料200円、道具レンタル料200円の一人400円という気軽な価格で自然の起伏を生かした36ホールを1日中のんびりと楽しめる。こちらは予約不要、当日申し込みOK。マレットゴルフファンには名コースとして知られるこの場所で、「気づけば夢中になっている」人が続出なのだという。


「安全面は万全に。そのうえで、新たな遊び方を見つけようと今は開拓中です。次のミーティングは、いよいよマウンテンバイク体験をアクティビティに盛り込むべく、コース開発、っていう名目でみんなで走りに行く予定(笑)。いやこれ、遊びだけど本気です。自分たちが楽しくないと、心からおすすめできませんから」

そして最後に、もうひとつ。ゴリさんは今年、キャンパーたちのために大きな楽しみを用意していた。


何を隠そうゴリさん、10代の頃から料理人の修行を重ね、近隣の伊那市で人気の創作バル「FLATT.」を経営するオーナーシェフの顔も持っている。自らの料理をキャンパーたちにも手軽に楽しんでもらえるようにと、地元のアウトドアショップ「CLAMP」とともに地元食材をいかしたアウトドアフード、その名も「信州伊那谷真空ごはん」の開発を実現。センターハウスにて販売を開始している。

・非常食としても役立てられるよう、食材と栄養を損なわない調理法で作る

・地域の旬の食材を有効活用、食品ロスを削減する

・様々なシーンで活用できるよう、調理は湯煎で

・長期保存を可能にする真空パックを冷凍でストック

そんなコンセプトを盛り込んで生まれたメニューは以下の通り。いずれもここにしかない魅力にあふれたスペシャルな内容だ。

“伊那谷野菜”と鷄ささみ「さっぱり梅昆布醤油漬焼き」・・・660円

”伊那谷野菜“と豚肩ロース「信州味噌焼き」・・・750円

“伊那谷野菜”と長野米「季節野菜の炊き込みごはん」・・・130g400円、180g450円、200g500円

“伊那谷野菜と粗挽き豚肉の山椒味噌キーマカレー・・・670円

“雑穀米”・・・180g450円、230g500円

※「真空ごはん」はセンターハウスのほか、伊那市内の「創作バルFLATT.」、「CLAMP」、「ASOBINA」にて販売中
Instagram:   @shinku.gohan

Facebook: 伊那谷真空ごはん


「平日のセンターハウスを、すでにシェアオフィスのように利用してくださっている方もいます。”平日サブスク”を利用してくださる方にも、ここで仕事をして煮詰まったら池を散歩して、夜はテントで、なんていう過ごし方をしてもらえたらいいですよね。ごはんは気楽に、『信州伊那谷真空ごはん』で。とにかくここではのんびり、ゆったりと時間を味わってほしいです」


長年、”庭”として親しんだ場所だけに、一度向き合い直せばここを生かすアイデアは次々と湧き出てくる。それでもまだ飽き足らず、「いい過ごし方が見つかったら、教えていただきたいし、みなさんのキャンプスタイルから学んできたい」と話す、ゴリさんの前向きで楽しげな表情が印象的だった。


「この恵まれた環境はそのままに、どれだけ楽しみ尽くせるか、仲間と切り開いていきたいですね。歴史は深いこの場所ですが、僕たちのキャンプ場運営はまだまだこれから。そのぶん柔軟に、多少のワガママにもこたえられると思いますよ! ぜひ、気軽に話しかけてもらえたらうれしいです」


文章:玉木美企子

写真:大石将平


Access


千人塚公園キャンプ場

https://senninzuka.site/

住所:〒399-3705 長野県上伊那郡飯島町七久保3017−124

電話:0265-86-6764

お車でお越しの場合

◯ 東京方面から

中央自動車道駒ケ岳スマートインター(駒ケ岳SA内) →    伊那中部広域農道 約20分

◯ 名古屋方面から

中央道松川IC  →  伊那中部広域農道 約15分


Info


センターハウス

宮下さん自ら手がけるランチを楽しむことができる。(火曜日定休)

日替わりランチ(1650円)はジビエなど地元の食材も使った本格カフェご飯だ。

ワークスペース環境

Cafe席を、営業時間ならずっと利用可能。

Cafeテラス(こちらは定休日もご利用いただけます)

Surrounding area


飯島町観光サイト IIJIMA NOTE   


道の駅花の里いいじま 車で約5分

Aコープ七久保店 車で約5分

釣り堀 徒歩1分


南信州 CAMP session

キャンパーの聖地・南信州。長野県の南。伊那谷と木曽谷を中心とするこのエリアは、全国屈指の人気キャンプ場がひしめく、キャンパーたちの聖地。大自然、美味しい食材と水、星空、温泉、静けさ。求める理想がすべて揃ったこの土地で、ローカルな暮らしや人、カルチャーとのセッションが始まればきっと訪れるたびに、新しくて楽しい出会いがある。キャンプスタイルはライフスタイルに。サステナブルな未来をひらく旅へ出かけよう。

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