【Feature Story】せいなの森キャンプ場「清らかな水が育む、ココロとカラダが『ととのう』キャンプ場」

せいなの森キャンプ場(下伊那郡阿智村清内路)

二川泰明さん

突然だが、あなたがキャンプに求めるものはなんだろうか。

絶景、夜空、ぼんやりすごす時間に、フィールドを生かしたアクティビティ。

もちろんそれらも大事だけれど、忘れることができないのは

「おいしいキャンプ飯」ではないだろうか。

なかでも、キャンプのおともに最適な噛みしめるほどに味わい深いパンを求めるなら、

「せいなの森キャンプ場」を心からおすすめしたい。

何を隠そう代表の二川(ふたがわ)さんは、このキャンプ場を運営しながら、

夫婦で信州産小麦と自家製酵母パンの店「耕紡工房」を営むパン職人でもあるのだ。

2020年8月には、キャンプ場から南木曽方面へ車で2分のところにこのパン工房とキャンプ場を併設した複合施設「里山CAMPUS」もオープン。

ここはうまいパンとコーヒーを味わい、里山をフィールドとしたアウトドア体験のできる場所だ。

水を失い、水に導かれて


長野県飯田市から昼神温泉郷を横目に通り過ぎ、阿智村の山中を車で走ること約20分。徐々に高度が上がっていき、標高1000メートルに達したあたりに現れるのが今回の目的地だ。

ふと気づけば周囲は急峻な山々に深い谷、そして森。一帯は「清内路(せいないじ)」と呼ばれ、伊那路と木曽路のあわいで300年以上続く伝統の手づくり花火や5種類の伝統野菜など独自のコミュニティや文化を育んできた場所でもある。


「ようこそいらっしゃいました」


優しい笑顔で出迎えてくれたのは、株式会社里山生活代表の二川泰明さん。

二川さんがこの場所の管理を担うべく「里山生活」を設立したのは、2017年のこと。

2013年に東京から清内路に家族で移住してきたのち、妻の妹さん、ご両親も移住してきて、現在は8人の大家族で暮らしているという。

「最初はね、ここへパンを焼きに来たんです」と、二川さんは移住に至った経緯を話してくれた。

「大きなきっかけだったのは、東日本大震災とその後の原発事故ですね。当時、水道水に放射性物質が混入したというニュースが報じられ、子どもたちの通う保育園から『お水をもたせてください』という連絡があって。
当時僕たちが住んでいたのは、ジブリ映画の『平成狸合戦ぽんぽこ』や『耳をすませば』の舞台にもなった、多摩ニュータウンというところで、山や森を切り拓いてつくった団地の街だったんです。だから食べ物や水といえば、スーパーで買うものというのが当たり前でした。そんな中、震災後スーパーから食べ物も水もほとんど無くなってしまって……生きる基本である水が飲めないってどういうことだろう、と考えさせられたことをきっかけに、暮らしの拠点を変えようか、と妻と話すようになって」

じつは東京・笹塚で小劇場を運営していたという、異色の経歴をもつ二川ファミリー。劇場運営は順調で、予約の取れない小劇場として多くのファンに支えられていたが、当時はちょうど、劇場のある建物の老朽化によって取り壊しが決まったタイミングでもあった。

「妻のおばあちゃんの家が松本市にあったことから、ゆかりのある長野県を中心に北信~南信のあちこち探すうちに、たどり着いたのがここ清内路。この山間の深い森のなかに身を置いたとき、妻がここだ!って『ビビビ』と感じたらしいんですよ。なにより、ここに『一番清水』という、美しい清水があったことにも運命を感じました。『求めていた水がここにある』って」

移住後の生業にしようと決めていたのが、パンを焼くこと。妻の文香さんは東京時代から「子どもたちに安心・安全な食を」と、ママ友達と一緒に自家製酵母ぱんづくりを始め、それをきっかけに移住前は職場の一角で週2日、小さなパン屋さんをやっていたのだそう。清内路でパンを焼く拠点も現「里山CAMPUS」(旧清内路健康の森)の加工施設を貸してもらえることとなり、まず「耕紡工房」として二人は子どもたちとともにこの土地へやってきた。

そして、移住から5年。前任の指定管理団体が撤退するタイミングで、この会社を立ち上げ、このキャンプ場を引き継ぐことになったのだ。


10万㎡の広大な敷地。天然酵母ぱんのデリバリーにモバイルサウナと、まさにココロもカラダも『ととのう』キャンプ場


「せいなの森キャンプ場」という名前も、前管理団体から引き継いだもの。森とつけるだけあって、キャンプ場の敷地面積は10万㎡というから半端ではない。

「ぼくたちも、どこまでがキャンプ場なのかわからなくなるような場所もあって」と二川さんは笑うが、宿泊の選択肢だけでも29のテントサイトにコテージ10棟、バンガロー15棟、団体の合宿も受け入れられる「森の家」もあるのだから、管理の労力は生半可なものではないだろう。

「もちろん、僕たち家族だけじゃ到底できないですね。立ち上げ時にはキャンプ好きなIターンの子や地元のUターンの子たちにスタッフになってもらいました。現在、その2人を中心に、僕たちが来るよりも前からこの場所に関わっている地元のベテランのスタッフさんたちにも引き続き働いていただきながら運営しています。スタッフやパート・アルバイトの方々には本当に感謝しています」

と、笑顔で話す二川さん。

キャンプ場全体図(せいなの森キャンプ場HPより)


そんな二川さんの魅力はというと、全体を包み込むおおらかなリーダーシップに加え、ワクワクするアイデアを形にするところにあるようだ。

同じ南信州は駒ヶ根の薪ストーブ・アウトドア用品の販売会社「ファイヤーサイド」が輸入販売している「モバイルサウナ」の導入もその一つ。せいなの森では、なんとこのテント型サウナを川の上の特設デッキの上に設営しており、サウナに入ったあと、そのまま川にドボン!と浸かれる極上のロケーションが評判となっている。

「ファイヤーサイドの、自ら『サウナ隊長』と名乗るサウナ愛好家のスタッフさんに『これから、テントサウナ絶対流行りますよ!!キャンプ場の売りになること間違いないです!!』って熱弁されて、『じゃあ、買ってみようかな』って、入れちゃいました(笑)。川の上のデッキも、他のキャンプ場と差別化を図るために、地元の木工作家さんにお願いして作っていただきました。晴れた日のロケーションは抜群だけど、その反面大雨が降ると砂がたまってかき出しが大変で! でもまあ、おかげさまで人気なので、やってよかったですけどね〜」

取材中は終始、このムード。気負いなく、おだやかなその空気はせいなの森に確実に明るくほがらかな風を吹き込んでいる。

なお、焼きたてのパンをキャンプサイトにお届けするデリバリーサービスは、妻・文香(あやか)さんのアイデアなのだそう。

「まだ運営3年目なので、日々いろんなことを試しています。最近では、キャンプ場の直営施設である『里山CAMPUS』に地域の旬の野菜だけでなく、私たちの焼く、自然に寄り添った自家製酵母ぱんや、全国から選りすぐりの自然食品やこだわりの調味料などを集めて販売を開始しました。そして『ここもキャンプ場も直売所も体験する場にしたいよね』と、カフェのコーヒーをセルフハンドドリップに変えてみたら、おかげさまでこちらも好評です。店内でも展示販売しているファイヤーサイドさんのアウトドアグッズを使ったアクティビティも準備中なんですよ。
Let’s CAMP ing with US ! = CAMPUS  『キャンプは学びだ!』を合言葉に名付けたこの施設。この里山をフィールドに、森のこと・環境のこと・エネルギーのことなど、これからの時代を生きていく『暮らし・生き方』のヒントとなるような、学びのある場所にしていきたいと思っているんです」

と、文香さん。

二人それぞれの柔軟な発想と、この場所への思いが、フィールドの魅力をさらに引き出し、輝かせているようだ。


里山CAMPUS内に、新しいフィールドもオープン


9月より本格始動した南信州キャンプセッションのサブスクリプション「CAMP LIFER」。今話題のワーケーション利用なら、「里山CAMPUS」との組み合わせが完璧だ。 Wi-fiのあるカフェは快適なワークスペースになるし、おなかがすいたらもちろん、一番清水と長野県産小麦を使ったおいしいパンも食べられる。しかも今回、CAMP LIFERと一般のソロキャンパー限定で里山CAMPUS横の「CAMPUSサイト」の利用をスタートさせたのだとか。

「そろそろ運用したいな、と思っていた場所だったので、いい機会と思いCAMP LIFERさんの受け入れを機にフリーサイトとして開放することにしたんです。この場所、広々とした芝生サイトで、空もひらけていてとても開放的なんです。有名な星空フォトグラファーさんも写真を撮られた、穴場スポットなんですよ」

今日はキャンプ、次は買い物、今度はカフェに……日々新しい楽しみ方が提案されるから、つい何度も訪ねたくなる「せいなの森」と「里山CAMPUS」。

キャンパーならぜひ、パンの予約も忘れずに入れてでかけよう。

南信州ふるさと村自然園 せいなの森キャンプ場

https://www.seinanomori.com/

指定管理者:株式会社里山生活

住所:〒395-0401長野県下伊那郡阿智村清内路2991

TEL:0265-46-2525

キャンプサイト 29

コテージ 10

バンガロー 15

Wi-fi・ワーキングスペース:施設「里山CAMPUS」内カフェスペース

入浴施設:シャワーのみ、20分圏内に日帰り温泉多数

平日アクティビティ:テントサウナ、山登り、ピザ焼き体験、妻籠宿探訪等


南信州 CAMP session

キャンパーの聖地・南信州。長野県の南。伊那谷と木曽谷を中心とするこのエリアは、全国屈指の人気キャンプ場がひしめく、キャンパーたちの聖地。大自然、美味しい食材と水、星空、温泉、静けさ。求める理想がすべて揃ったこの土地で、ローカルな暮らしや人、カルチャーとのセッションが始まればきっと訪れるたびに、新しくて楽しい出会いがある。キャンプスタイルはライフスタイルに。サステナブルな未来をひらく旅へ出かけよう。

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